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SPAC-静岡県舞台芸術センター(静岡県)「すぱっくおやこ小学校」 ~文化のある街での子育て~

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『静岡芸術劇場』

『SPAC-静岡県舞台芸術センタ-』(通称スパック)は、1997年に静岡県が設立した日本初の公立の劇団です。「劇場は世界を見る窓である」という理念のもとに、演劇の上演だけではなく、演劇を通した人材育成事業や中高生鑑賞事業などを続けています。

活動拠点である『静岡県舞台芸術公園』は、日本平の中腹にある21ヘクタールの敷地内に、野外劇場「有度(うど)」、屋内ホール「楕円堂(だえんどう)」、稽古場や本部棟、研修交流宿泊棟などが点在しており、創作と交流の場になっています。もう一つの拠点、JR東静岡駅前にある『静岡芸術劇場』は、どこから観ても間近に舞台を感じられる造りが特徴で、独自の舞台芸術作品を楽しむことができます。

静岡から世界へ作品の発信もしており、フランス・ギリシア・ロシア・イタリア・アメリカ・コロンビア・中国・韓国など世界各国で公演し、高い評価を受けています。


今回は、新しい取り組みである親子を対象にした「すぱっくおやこ小学校」をご紹介します。

「すぱっくおやこ小学校」

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「すぱっくおやこ小学校」in静岡(中・高学年クラス)

「すぱっくおやこ小学校」は、小学校1~6年生のお子さんと保護者(親族であれば親以外も可能)の方が、2人1組で「同級生(おとな生徒さん、こども生徒さん)」として参加する、1ヶ月限りの親と子のためのアートプロジェクトです。2022年度は、6月から7月に静岡市・浜松市・沼津市で開校しました。

地域にお住まいの専門家の方々が講師となり授業を行います。親子で一緒に考えたり、身体を動かしたり、ものづくりをしたり。様々な体験をしながら親子の絆を深めます。また、様々な人と一緒に学び、笑い合い、互いを発見し合います。採点や競争もない場所で、社会の多様性を親子で学びます。

「おやこ小学校」の担任は、このプロジェクトを立ち上げたコミュニケーションデザイナーのYORIKO(よりこ)さん。2016年に香川県高松市で「おやこ小学校」をスタートさせ、2019年からは東京都豊島区でも開催。5年間で60回を超える授業を実施し、1,000人を超える方が参加しています!

認定校長先生は、SPAC俳優の三島 景太(みしま けいた)さん。三島さんは、SPAC 創立の1997年から所属しており、国内外70都市以上の公演経験を持つベテラン俳優です。生徒さんたちからは、親しみを込めて「みーさま」と呼ばれています。

未来のプレゼント大作戦

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おやこ小学校担任YORIKO先生と小澤さん親子 「~こども生徒さんからおとな生徒さんへ~」

静岡会場での授業は、全4回にわたって開催されました。
今回、4時間目の「図工 ~未来のプレゼント大作戦~ 」を取材させていただきました。

図工の授業では、未来のプレゼントをおとな生徒さんとこども生徒さんがお互いに作り合い、贈り合います。
生徒さんは、相手を思いながら終始真剣な眼差しで制作していました。



--おとな生徒さんからこども生徒さんへ

おとな生徒さんがこども生徒さん宛てに手紙を書き、みんなの前で読み上げます。


・・・普段言えない思いや感謝の気持ち。


手紙を読みながら思いが溢れ出し、涙を流すおとな生徒さんもいました。
授業に参加している他の生徒さんやスタッフたちにも気持ちが伝わり、みなさん涙ぐんでいました。

「大人になったときに使えるチケット」もプレゼント。
寿司券(まわらないお寿司)、お酒を一緒に飲む券、本当に困った時に1度だけなんでもしてあげる券など、大人になるのが楽しみになるチケットが多かったです。



--こども生徒さんからおとな生徒さんへ

家族と一緒にいる楽しい場面の絵を描いたり、紙やペンを使い思い思いに工作をしたり、一生懸命作った作品をおとな生徒さんにプレゼント!!

「自分が大人になったら使えるチケット」は、寿司券、さくらんぼ食べ放題券、ビール券など。
おとな生徒さんは、“親が好きなものをよく見ている” と、感心していました。


YORIKO先生は生徒さんたちに、「授業で作ったチケットは、こども生徒さんが大切に保管して、大人になったら必ず使ってね!」と、伝えていました。

生徒さんたちが、未来を楽しみにしながら作ったプレゼント。
チケットを使える日が待ち遠しいですね!!

生徒さんたちの笑顔に出会う

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卒業式の後に、集合写真を撮りました

静岡会場のクラスには、山梨県から移住された親子が参加していました。

2021年10月に山梨県甲府市から静岡市へ移住した小澤(おざわ)さん親子に、参加した感想と移住後の暮らしについてお話を伺いました。

参加したこうしろうくんとりおちゃん(小学3年生)は、双子です。
「授業で、お父さんとたくさん討論したのが楽しかった!」こうしろうくんが、元気よく感想を伝えてくれました。

おとな生徒さんのしんじさんは、“子どものことを知りたい” という思いで参加をしたのだそう。
「子どもが友達と話し合ったり、物事を決めたりする姿を間近で見ることができたのが良かったです。回を重ねるごとに、子どもの意見が増え、子どもと一緒に授業を作り上げていると感じました。」と、嬉しそうに話してくれました。


「おやこ小学校」に参加したことで、親子の絆がより深まったようです。



--移住先、静岡市での暮らしについて。

「静岡は海があるのがいい!おじいちゃんとおばあちゃんの家が近くなって、会う回数が増えたのも嬉しいです。甲府に住んでいたときは小学校が2㎞も離れていて通学が大変だったけど、小学校が近くなったのも良かった。」

「山梨に住んでいた時は、川遊びしかできなくて海で泳いだことがなかったから、清水の海で磯遊びをするのが楽しい!休みの日はどこに行こう!とても楽しみ!!」

こども生徒さんのこうしろうくんとりおちゃんは、静岡市での暮らしをとても楽しそうに話してくれました。

おとな生徒さんのしんじさんは、「山梨県は車社会で車がないと生活ができない環境でした。老後のことを考えて、車がなくても生活できるところに住みたいと思い移住しました。静岡市は、電車(JR・私鉄)やバスが使えるため交通が便利です。雪が降らないから冬用のタイヤが必要無いのも良いですね。夏は、甲府市より静岡市の方が涼しく感じます。食べ物も美味しいし、魚も安いですし、静岡最高ですね!!!」


移住後の暮らしが、とても充実していることが伝わってきました。

移住希望者に伝えたいこと

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SPAC制作部 坂本彩子(さかもと あやこ)さん

実は、SPAC制作部でおやこ小学校の運営担当をしている坂本さんも移住者です。

坂本さんは、静岡県藤枝市出身で、大学進学とともに上京。子どもが1才2ヶ月の時に静岡市へJターンし、SPACで働きはじめました。

「県立の劇団というのは、全国でもとても珍しいです。年間を通じて舞台作品を上演をするほか、年間約10,000人の中高生を劇場に招待する中高生鑑賞事業公演や学校訪問プロジェクト、未来の舞台芸術家を育成する人材育成事業など様々な事業を行っています。SPACではこれからも劇場だけではなく、身近な場所で演劇に触れる機会をたくさん作りたいと考えています。また、新しい試みである「おやこ小学校」は、家庭や学校とは異なる親子のコミュニケーション・役割を通じて、お互いの知らない一面を発見する場になればと思います。」



--東京から静岡市へ移住。そして、静岡市街中から中山間地へ。

「静岡県は自然が多く、食べ物も美味しいですよね。山と海、街も近く、街中に住むこともできるし、中山間地に住むこともできます。多彩なライフスタイルを自分で探せる土地なので、暮らし方のグラデーションがたくさんあると思います。」

移住当初は、劇場にも比較的近い中心市街地に住んでいたそうです。コロナ禍になり、テレワークが始まったことで、東京にいた時からの “自然の中で暮らしたい” という思いが強くなり、中山間地の家を探したのだそう。

「中山間地の空き家はなかなか見つかりませんでしたが、友人の紹介もあり運良く空き家バンクで古民家を見つけることができました。空き家バンクの物件は、売り主と直接交渉しなければならないのでやりとりがとても大変でした。すきま風は覚悟していたので、薪ストーブを入れてもらったのですが、薪は本当に暖かく、手間はかかりますが煮炊き鍋もでき、とても便利です。庭に猿や鹿が来ることもあり、大変なこともありますが“自然や動物と共に生きている”と感じています。」

日々、自然を感じながら暮らし、舞台芸術を届ける坂本さん。
「静岡県は、文化や自然に触れながら子育てができる環境ということに魅力を感じてもらえたら。」


坂本さんのやわらかな表情の奥に秘めた “熱い想い” が伝わってきました。

この記事について

SPAC-静岡県舞台芸術センター

住所
静岡県静岡市駿河区東静岡2丁目3-1
電話
電話:054-203-5730 メール:mail@spac.or.jp
営業時間
10:00〜18:00(休業日を除く)
駐車場
グランシップ駐車場