相談員通信
Working Space Bagatelle(河津町)~地域おこし協力隊隊員が運営する町の交流拠点~
『Working Space Bagatelle』がある河津町(かわづちょう)は、人口6,800人ほど。
伊豆半島の先端部に近く太平洋に面した、海・山・川に囲まれた自然豊かな町です。
河津町は、“河津桜発祥の地”として知られています。
河津桜は、2月上旬に濃いピンク色の花を咲かせる、本州で一番早く咲く桜です。
河津川沿いに咲き誇る桜は約850本。『河津桜まつり』開催期間中は、多くの人で賑わいます。
河津七滝(かわづななだる)も人気観光スポットのひとつ。
自然を堪能しながら滝を巡るハイキングコースは、60分程で巡ることができます。
自然豊かな河津町は、食材も豊富です。
わさびや柑橘類、ブルーベリー、河津川では鮎や鰻やズガニ、近海では伊勢海老など数々の特産品があります。
町の新たな交流拠点
Working Space Bagatelle
フランスのパリ市にある『パリバガテル公園』の姉妹園『河津バガテル公園』も河津町を代表する注目スポットです。3ヘクタールの広大な園内では、1,100品種、約6,000株のバラを愛でることができます。また、カフェ、ショップ、クライミング施設、ドッグランもあります。
2021年4月、園内に町の新たな交流拠点として『Working Space Bagatelle』がオープンしました。旧レストラン棟をリノベーションした建物は、クラシカルな雰囲気。フランスの調度品を活かしたおしゃれな店内では、非日常空間を楽しめます。
1階のブックカフェは、広々とした空間で本を読みながらのんびりと過ごすことができます。2階のコワーキングスペースは、窓越しに木々を眺めながらリラックスして作業をすることができ、休暇を兼ねたワーケーション施設としての利用もお勧めです。
河津町地域おこし協力隊になったきっかけ
1階 ブックカフェ
『Working Space Bagatelle』を運営しているのは、埼玉県出身の移住者で河津町地域おこし協力隊の隊員、榎原なつ美(えのはら なつみ)さん。
移住前の榎原さんは、大阪にある照明会社で朝早くから夜遅くまで働き、多忙な日々を送っていました。 “太陽の光を浴びる生物らしい生き方がしたい” と思い退職し、実家のある埼玉県へUターンをしました。
Uターンをしてからは、接客業から児童福祉の指導員、国立公園の管理人など様々な職業を経験。
・・・Uターン後も多忙な日々・・・
そんな中でも時間を見つけ趣味の旅行に行き、多くの場所を訪れるにつれて、 “もっと自然を感じる生き方がしたい” “美味しい水を毎日飲みたい” と思うようになり、『水』をテーマに移住先を探すことにしました。
静岡県主催の大規模移住相談会『静岡まるごと移住フェア』に参加し、河津町移住担当者にオンラインで相談をしました。河津町に移住相談したのは、「海や川、滝に温泉と「水」が豊富にあり、2月の寒い時期に河津桜や菜の花が咲いている暖かい環境に興味をもったから」だそう。
河津桜が咲き誇る美しい季節にはじめて訪れ、河津町地域おこし協力隊再募集を知り、即申込み。
面接を受けたら、見事内定!!内定から移住までのスピードは、3週間ととても早いものでした。
※地域おこし協力隊:都市部の人材を地方の新たな担い手として受け入れ、地域活動を行ってもらう制度。
それぞれの自分時間を過ごせる場所
2階 コワーキングスペース
1階のブックカフェには、榎原さんが企画した『交換本棚』が設置されています。
『交換本棚』は、読み終わったお勧めの2冊を寄贈してもらい、本棚にある1冊と交換が出来るというもの。本には、寄贈した人からのメッセージカードが添えられています。
参加者同士で本を紹介し合ったり、テーマに対する自分なりの答えを話したりする『読書会』も定期的に開催しています。
本にまつわるイベントだけではなく、人が集える様々なイベントを企画し、町の新たな交流拠点としての役割を担っています。
2階のコワーキングスペースは、隠れ家的な雰囲気。趣のある家具に囲まれた非日常空間で、木々を眺めながら作業ができます。時間単位で気軽に利用できるのも魅力です。予約優先のミーティングスペースは、半個室。会議や、商談、少人数のセミナー、オンライン会議など様々な用途で利用ができます。
親御さんが2階のコワーキングスペースで仕事をしている間、子どもたちが園内にあるクライミング施設で遊んだり、1階のカフェで読書をしたり。それぞれが自分好みの時間を過ごせるのも魅力です。
移住希望者に伝えたいこと
榎原さん(読書会)
「ご縁あって田舎暮らしに理想的な 「自然が多い、庭付き一軒家」を借りることができました。しかし喜んだのも束の間。家中の隙間からムカデなどの虫が進入、湿気との闘い。休みは害虫対策とカビの掃除に追われました。庭には、多種多様な果物の木が植えてあり理想的でしたが、草刈りをはじめ手入れがとても大変!!更に蜂やタイワンリス、猿まで登場(笑)し、休まらない生活が半年続きました。他にも色々な事が重なり我慢の限界を越え、他の家に引っ越すことにしました。理想と現実は違いました。」
当時の経験を赤裸々に話す榎原さん。家選びの重要さを教えてくれました。
――憧れの移住生活、期待をしすぎると環境の変化に疲れてしまう可能性があると榎原さんは言います。
「また移住地を決める際はインスピレーションが大事だと思いますが、実際に足を運び、歩いて町の雰囲気を確かめることもお勧めします。初めて町へ来たとき、どんな店やどんな道があって、駅からどれくらいかかるのか、スーパーの中にも入ったりして生活目線でみました。『移住』と言われると何か重い印象を私はうけますが、気軽にと言っていいのか分かりませんが、引越しの感覚で移住すると良いと思います。」
インタービュー後に、『Working Space Bagatelle』のほとりにあるモネゆかりの池を案内してくれました。木々の葉音や鳥のさえずりが聞こえる中、「河津町は穏やかで、不思議なぐらい優しい雰囲気」と笑顔で話す榎原さん自身も、河津町の穏やかで優しい雰囲気に溶け込んでいました。
※榎原隊員の活動やイベント情報は、note 「かわづのくらし」で、発信中。
掲載日:2022年10月4日
この記事について
Working Space Bagatelle(ワーキングスペースバガテル)