裾野をもっと魅力的なところに! 新たな視野で地域貢献活動を行う

神奈川県から裾野市に移住 鈴木さん
裾野をもっと魅力的なところに! 新たな視野で地域貢献活動を行う
富士山の東南麓に、まさに「すその」を広げる静岡県裾野(すその)市。海抜78.5〜2,169mの標高差がある美しい景観、おいしい空気を生み出しています。東名高速道路裾野インターチェンジから富士山へと続く道は、「富士山すそのパノラマロード」と呼ばれ、雄大な富士山と、桜、菜の花、コスモス、雪など四季折々の美しい景色を織りなします。家具工房「フジライト」の代表取締役である鈴木大悟(すずきだいご)さんは、東日本大震災を機に東京から故郷の裾野へUターンしてきました。さまざまな地域活動も行なっている鈴木さんに、Uターンのきっかけや、裾野にまつわる活動についてお話を伺いました。

裾野市へUターンすることにしたのはなぜですか?

東京では、会社勤めをしながらバンド活動をしており、実はCDデビューもしていたんです。当時は、音楽活動を主軸に据え、その合間に仕事というような音楽中心の生活。その後、26歳の時に結婚し、バンド活動には終止符を打ち、インテリア会社に就職しました。30歳の時に長女が、32歳の時に長男が生まれ、家は東京から家族で生活しやすい神奈川県川崎市へ転居。若い頃は都会暮らしに憧れがあり、裾野へ戻るつもりは全くありませんでした。
しかし、2011年に発生した東日本大震災で考え方が一変。震災発生時は、私は職場がある東京に、家族は川崎にと離れていた状態。家族と連絡が取れず、東京から歩いて帰ってきましたが、道中不安でいっぱいでした。地域に頼れる知り合いもいなかったので、安否確認もできなくて…。幸い家族は無事でしたが、いざという時に周囲に頼れる人がいる場所へ行きたいと強く感じました。
そんな時、父から家業の家具工房を手伝ってほしいと言われ、裾野へ戻ることを決意。2011年春に裾野へ戻ってきました。
さまざまな地域活動を行っているとのことですが、具体的にはどのような活動でしょうか?

裾野へ戻る前に、宮城県石巻市の復興支援ボランティア活動に参加しました。震災の被害を記憶しておきたかったからというのが理由ですが、これにより、地域のために何かしたいという想いが芽生えてきました。裾野へ戻ると、どこで話を聞きつけたのか商店街や青年会議所の集まりなど、さまざまなところから勧誘の電話が。少しずつ顔を出すうちに、つながりが芋づる式に広がって地域に対する想いや使命感のようなものがふつふつと湧いてきました。
青年会議所在籍時には、10年がかりで構想していた「富士山一周国際駅伝」の実現に貢献。これは、静岡県や山梨県にある、富士山近隣地域の人と協働で取り組む駅伝で、行政と市民との連携により、2015年に悲願達成しました。これまでの活動と経験を買われ、2018年に裾野市から産業連携地域プラットフォーム「いわなみキッチン」の施設運営を、委託されました。創業や販路開拓、産業活性化などを支援しています。
「いわなみキッチン」の運営も兼ねて設立したのが「一般社団法人 南富士山シティ」。裾野を初めとする静岡県内の富士山周辺地域を一つの都市として考え、地域がわくわくする未来を共創するさまざまな活動を行っています。2018年9月には、裾野での新しい未来の暮らし方を提案するトークイベント「富士山とくらす。FUN SUSONO」を東京有楽町で開催。「農」や「フリーランス」、「キャンピングオフィス」などをテーマに裾野市への定住移住をPRしました。
また、裾野は、アウトドアを行える場所がたくさんある場所。大手アウトドア用品メーカーと提携し、キャンプ初心者でも気軽に参加できる「手ぶらCAMP」の取り扱いもスタート。アウトドア用品のレンタルも行うなど、裾野へ人を呼ぶコンテンツの創出を行なっています。
今後の地域活動についての展望を教えてください

裾野にはサファリパークやスキー場、キャンプ場等があり、関東圏から大勢の方が裾野へ足を運びます。しかし、裾野は目的地までの通過地点になってしまいがちです。もっと地域を活性化させ、魅力的なコンテンツを創出できればと考えています。
私が代表取締役として営む「フジライト」は、職人の手仕事による自社ブランド展開を行なっている家具工房。2013年にはオリジナルブランド「MANUALgraph」を立ち上げ、最近では、インターネットを通じ、県外からわざわざ家具を観に来てくださる方も増えてきました。当社の家具を気に入って、入社し、裾野へ移住してくれたスタッフもいるんですよ。裾野から地域ブランドを育て、全国へ発信し続けていけたらと思っています。
裾野には、花と富士山を一緒に観ることができる「富士山すそのパノラマロード」という道路があるのですが、実は、今、この風景を眺めながら滞在できる宿泊施設の建設を構想中なんです。家具工房の工場やショールームも併設し、宿泊施設には自社ブランド「MANUALgraph」の家具を導入し、いろいろな体験をしてもらえる施設にしたいと思っています。裾野の新たなコンテンツの一つになれたら嬉しいですね。
裾野の魅力や移住を考えている方へ、アドバイスをお願いします

裾野は、東京や神奈川への通勤圏内の地域。東名高速道路裾野インターチェンジや、新幹線が停まる三島駅へ車で15分ほどで行くことができてとても便利です。東京に未練がある人にも、地方と東京の両方の暮らしが手に入るのでおすすめです。
川崎で生活している時は、家賃も駐車場代もとても高く、車を持つことができませんでしたが、裾野へ戻った後は、生活コストが下がったので、車もマイホームも手に入れることができました。実は、裾野は、出生率が県内でトップレベル。子育てがしたくなるようなつながりのあるコミュニティと豊かな自然があるので、これからの発展が期待できると思います。
岩波駅から徒歩5分のところにある「いわなみキッチン」では、移住・定住のほか、起業についての相談も行っていますので、ぜひ気軽に顔を出してみてくださいね。