静岡県公式移住・定住情報サイト ゆとりすと静岡

先輩移住者の声

vol.27

沼津をもっと盛り上げたいと、仲間とともにイベントやゲストハウスを企画

掲載日2021年01月29日
沼津市 自然 夢を実現 Iターン 家族
img

東京都から沼津市へ移住 今井さん

沼津をもっと盛り上げたいと、仲間とともにイベントやゲストハウスを企画

駿河湾を抱くように海沿いに位置する静岡県沼津(ぬまづ)市。東京から新幹線とJRで約1時間のところにあり、首都圏への通勤可能エリアでもあります。発展したJR沼津駅周辺や、新鮮な海の幸がいただける沼津港、またテレビアニメの聖地としても話題の街です。天気のよい日には、富士山を望むことができ、心地よい風を浴びながら海沿いをサイクリングや散歩などで過ごすのもお勧めです。
埼玉で育ち、高校卒業後、国際交流団体を通じて世界各国を旅したり、アイルランドへ10か月留学したりするなど行動力溢れる今井風多(いまいふうた)さん。帰国後は、自然食品を取り扱う企業に就職し、東京の自然食品店の店長として仕入れから販売、接客などを担当していたそうです。仕事の縁を通じて、2017年11月に沼津市西浦(にしうら)地区へ奥様と3人のお子さんを連れて移住。現在は、仲間とともにまちづくり会社「奥駿河家守舎(おくするがやもりしゃ)」を立ち上げ、西浦や内浦でゲストハウスの運営をしています。移住の経緯や西浦・内浦での暮らしについて伺いました。

img

沼津市西浦地区へ移住した経緯について教えてください

img

東京では、江戸文化が残る下町として知られている谷中(やなか)という町に住んでいました。大好きな町でした。しかし、2011年に東日本大震災を経験。勤務先から自宅まで1時間かけて歩いて帰ったのですが、大勢の人が帰宅困難者になったり、谷中にある銭湯の煙突が折れたりした様子を見て愕然としました。いずれは谷中で自然食品を取り扱う自分のお店を構えられたらと思っていたのですが、震災の影響で将来の見通しが立ちにくくなりました。
2012年、東京の自然食品店の仕事の関係で、沼津市西浦地区にあるみかん農家を訪問。これが転機になりました。東京から電車ですぐに行ける距離で、銭湯の壁絵で見るような富士山を実物で見ることができ、とても驚いたことを記憶しています。いいところだなぁと思いました。しばらくして、そのみかん農家の方から「築100年近くの古民家を手放そうと思うので誰か住みたい人がいたら紹介して」という連絡が。自然食品を取り扱う会社なので、田舎暮らしを好む知り合いがいるのではと思って自分に連絡を下さったと思うんです。震災後、東京での暮らしに疑問を抱き始めていたので、ちょうどいいから自分が移住しようと思いました。

仕事について教えてください

img

沼津へ移住した当初は、知り合いなし、仕事なし、田舎暮らしも初めてという状態。何もない状態からのスタートでした。移住後、とりあえずは東京で勤めていた会社の仕事を手伝わせてもらいながら、みかんをイベント等で販売していました。伊豆半島で開かれるイベントに積極的に参加するうちに、次第に友人が増えていきました。イベントには、庭師、染物師、木工作家、林業を営んでいる人などさまざまな人がいて、自分がやりたいことを求めて移住してきている人が多いんです。自然と意気投合しました。
2015年には「カフェとして使っていた古民家が空くので何かやってみない?」と声をかけられ、友人たちとともに改装し、カフェをオープンしました。それまで飲食店の経験はなかったので、週末は清水町の食堂でアルバイトとして調理やホールの仕事をさせてもらいながら、平日に自分のカフェを営業していました。なかなか大変ではありましたが、カフェという自分の場所を持ったことで、自然と知り合いも増え、そのうち、カフェでワークショップや音楽フェスなども開催するようになりました。
ある時、イベントを通じ、沼津市の職員の方と知り合いました。「沼津市でリノベーションスクールがあるから参加してみない」と声をかけられたんです。まちづくりについての実践技術を学ぶ場で、全国でも実施されている企画。ちょうど2016年に沼津市で初開催するとのことなので、参加することにしました。2泊3日で企画立案から収支計画、課題解決への道のりなどまで実践的に学ばせてもらいました。これは本当によい経験になり、新たな価値観が芽生えました。自分も地域を動かすプレイヤーの一人になれたらと思ったんです。
リノベーションスクールには、西浦・内浦地区に縁がある参加者が自分を含めて3人いました。3人で何か一緒にできないかと思い、立ち上げたのがまちづくり会社「奥駿河家守舎」です。2017年に内浦にある古民家をリノベーションしてゲストハウスをオープン。カフェを経営しながら、ゲストハウスの運営管理も手がけるようになりました。
こんな田舎のゲストハウスを利用する人がいるのかなと思ったのですが、想像以上に需要があり、驚きました。利用客の9割以上がヨーロッパやアジアからの外国人。最近は、日本人も増え、名古屋や東京、京都などからいらっしゃる方もいます。この辺りは富士山が美しく見える景色がよい場所。風景を楽しみにいらっしゃる方も多いようです。
需要が多くなってきたので、カフェの営業を終了し、使っていた古民家をゲストハウスとして改装することにしました。今はオープンに向けて準備中。近いうちにと考えています。

地域活性のために考えている取り組みや活動はありますか?

img

沼津市には、都市計画部まちづくり政策課という部署があり、市の職員の方が沼津の街をよくしようと本当にいろいろ動いてくださいます。沼津には海水浴場が多いのですが、閑散期の利活用をと思い、2018年5月には「Living Blue(リビングブルー)」というキャンプイン音楽フェスティバルを初開催しました。音楽と食事とキャンプが楽しめるイベントで、大盛況に。この時、沼津市の職員の方々からたくさんのお力添えをいただきました。2018年12月には、沼津で「静岡オーガニックフェスティバル」と、狩野川でフリーライブも開催することができました。
また、西浦は、沼津市のブランドみかん「寿太郎みかん」の産地でもあります。市場に流通できない規格外のみかんがあり、それを使って何かできないかと思い、リノベーションスクールを通じて、「みかん石けん」を考案しました。ゲストハウスのアメニティとして使えたらいいなと思っています。

移住を考えている人に向けて、メッセージをお願いします

img

沼津は、最近、盛り上がりを見せている都市だと思います。今までは個々に活動していた人が多かったのですが、横のつながりが増え始め、みんなで何かしようという動きを感じます。今の沼津は、起業もしやすいのではないでしょうか。一緒に地域を盛り上げてくれる仲間が増えていったらいいなと思っています。
西浦・内浦の地区は、景色が美しく、いつ見ても何かを気づかせてくれる魅力があります。豊かな自然から生み出される食材は豊富で新鮮。日曜には、「内浦漁港朝市」があり、しらすを買いに行くなど、よくでかけます。移住を考えられている方がいらっしゃったら、ぜひイベントに顔を出してみたり、ご家族でゲストハウスなどに宿泊し、沼津の雰囲気や住む人の人柄を感じていただくのが一番なのではと思います。

  
他の記事も見る