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先輩移住者の声

vol.39

古民家に泊まっていただきながら、山里の魅力を伝えていきたい

掲載日2021年01月29日
島田市 ゆとりある生活 自然 Iターン 家族
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宮城県から島田市へ移住 小栗さん

古民家に泊まっていただきながら、山里の魅力を伝えていきたい

島田市は日本を代表するお茶どころ。牧之原台地と大井川の川筋を中心に茶園が広がっています。たっぷりの日光を浴びた滋味豊かな「島田茶」、やわらかな舌ざわりと深い香気の「金谷茶」、山間で育つ繊細な味わいの「川根茶」という個性豊かなお茶が作られています。
また、近年は観光地としても注目を集めています。蒸気機関車の運行で有名な「大井川鐡道」、源泉掛け流しの天然温泉「川根温泉」、ギネスに認定された世界一長い木造歩道橋「蓬萊橋」は、島田市を代表する観光スポット。休日になると多くの観光客が訪れます
小栗さゆりさんは、宮城県から島田市に移住し、大井川鐡道福用駅の近くにある古民家を購入して、一棟貸しの古民家の宿「熊のや」を経営しています。どうして、古民家の宿を経営するようになったのか。その理由について、お話を伺いました。

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島田市へ移住したきっかけを教えてください

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移住のきっかけは、夫の転職です。どうせ引っ越すならば、昔からの夢だった古民家に住みたいと思って、いろいろな物件を探しました。そんな時に、大井川沿いの山里である島田市高熊の地で、築90年の古民家に出会ったんです。
家の前には大きく蛇行しながら流れる大井川。家の後ろは、うっそうと木々が茂る里山。この豊かな自然のなかで暮らしたい、子どもを育てたいと思い、私たち夫婦と2歳の子どもの3人で移住することにしました。
地域の方はとても気さくで、ほとんど干渉されることもなく、ほどよい距離感で付き合うことができます。私にとっては以前住んでいた町よりも田舎の方が人間関係のストレスが少なく、隣近所の人たちの顔がわかる分だけ、安心して暮らすことができると思いました。
近所の人たちとも仲良くなって、ここでの暮らしはかなり気に入っていたのですが、夫の仕事が忙しくなり、通勤の負担を少なくするために、島田市内の駅に近いアパートに転居することにしました。仕事や子育てが一段落したら、いずれはここに戻ってきて暮らしたいと思って、いままで住んでいた古民家を「一棟貸しの宿」にすることにしたんです。

古民家の一棟貸しの宿は、どんな宿ですか?

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古民家の宿としてお客様を迎えるため、トイレやキッチンの水回りや内装などをリフォームしました。もともと建築の仕事をしていたため、その経験を活かし、簡単な大工仕事や左官仕事はできるだけ自分の手で行って、費用を抑えました。古民家の風情を活かしたグレーの漆喰の内壁は、我ながらなかなかの出来栄えだと思っています。
約半年かけたリフォームの後、2018年6月に一棟貸しの宿「熊のや」は、オープンしました。古民家で暮らすように泊っていただく民泊スタイルの宿で、料理をつくるのもバーベキューを楽しむのもお客様自身の手でしてもらいます。
当初は、果たしてお客様が来てくれるのか不安でしたが、20代から30代の若者グループや家族連れグループなどを中心に、口コミで少しずつお客様が増えています。美しい清流と深い緑に恵まれた山里の古民家で、周りを気にすることなく、のんびり自由に過ごせることが好評です。
また宿を始めてみると、大井川鐡道や川根温泉などを目的に泊まるお客様が多く、思った以上に観光地として魅力のある地域であることがわかりました。
いまはアパートで暮らしながら、宿泊予約があると受付と掃除のために古民家まで通っています。土曜日に受付をして日曜日に掃除にいくことが多いですね。通うのは大変ですが、街のアパートから山里の古民家に戻ってくると、本当にほっとします。

地域の魅力について教えてください

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私たちが島田市高熊を移住先に選んだ理由は、大井川の風景と川沿いの山里の町並みに魅かれたからです。この辺りは、どのお宅も庭や住まいをきちん手入れしていて、町並みがとても美しいのです。建築の仕事をしていたので、特にそう感じるのかもしれません。ここなら、安心して暮らせると思いました。
私たちが購入した古民家も、庭も住まいも隅々まで手入れが行き届いていて、一目で家主の方が大事に家を守ってきたことが分かりました。
いま私は、地域活性化を目的としたアートイベントのサポーターとして活動しています。これは、大井川鐡道の無人駅に県内外のアーティストが作品を展示するイベントです。このイベントを通じて、地域を愛する人が大勢いることを改めて感じました。私も地域を愛する一人として、山里の暮らしを体験できる古民家の宿を通じて、この地域の魅力をたくさんの人たちに伝えていければと考えています。

移住を考えている方にアドバイスをお願いします

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私には「いつかは古民家で暮らしたい」という長年の夢がありました。移住は自分自身の夢を適える手段の一つです。自分らしい移住にこだわってみるのも、良いのではないでしょうか。
また山里の古民家暮らしは、言葉だけでは伝わらないところもあります。そんな時にはぜひ、一棟貸しの宿「熊のや」に一泊してみてください。満天の空に抱かれて、清流のせせらぎの音を聞きながら、眠りにつくのもいい経験になるはずです。

  
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