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先輩移住者の声

vol.49

海の近くでカフェを始めたくて下田市へ。仕事を創りながら複業を楽しむ

掲載日2021年01月29日
下田市 ゆとりある生活 自然 夢を実現 Iターン 夫婦
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兵庫県から下田市へ移住 稲田さんご夫妻

海の近くでカフェを始めたくて下田市へ。仕事を創りながら複業を楽しむ

幕末期、米国艦隊を率いて下田へ来航したペリーは、下田の海を見て「変化に富んだ風景は美しい」という言葉を残したと言います。下田の海が見せる表情は、時間、天候などによって異なり、ずっと見ていても飽きない美しさがあります。そして、開国の歴史を持つ下田には、当時の歴史を思い起こさせるような風景や街並み、観光スポットが多く遺(のこ)り、海水浴客以外にも、年間を通して多くの人が訪れます。
兵庫県明石市から移住した稲田さんご夫妻は、ご主人の海の近くでカフェを開きたいという夢のもと、入り江にできた静かなビーチがある外浦地区の「外浦活性化プロジェクト」第1号の移住者となりました。奥さまの稲田みのりさんに、移住地として下田を選んだ理由や、移住後の暮らしなどについてお話を伺いました。

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移住をしようと思った理由と、移住先として下田市を選んだ理由を教えてください

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私は千葉県、主人は和歌山県出身です。お互い、関西圏で仕事をしていて、結婚後は兵庫県明石市に住んでいました。私はオーストラリアやフィリピンで語学留学をした後、タイでアロママッサージの技術を習得し、帰国後はアロマセラピストとして仕事をしていました。主人は自動車関係の仕事をしていたのですが、いずれは海の近くでカフェを開きたいという夢を持ち、移住を考えていました。
できれば千葉の実家にも近いところがいいなと思い、候補として上がったのが伊豆。25歳くらいまでは千葉県に住んでいたので、20代前半の頃は、車でよく海水浴などで伊豆へ遊びに来ていたんです。結婚してからも兵庫県から河津桜を観に行ったことがあり、「伊豆は暖かくていいところだよね」という話になりました。
2018年12月、「河津&南伊豆の短期お試し移住」を通じて5泊6日で伊豆を訪れました。河津町や南伊豆町で物件があればいいなと思っていたのですが、その時は見つけることができませんでした。そこで、下田市役所へアポなし訪問! 受付で「移住したいのですが」と伝えたところ、移住担当者の方を紹介してくださいました。急な訪問だったにも関わらず私たちの相談に乗ってくださって、「海沿いに住みたい」「カフェをやりたい」「田んぼをやりたい」「漁業権を取りたい」「宿をやりたい」など、ともかくやってみたいことを伝えました。そうしたら「ちょうど外浦にいい物件があるよ」と紹介してもらったのが外浦地区にある今の家でした。

外浦地区の家を選んだ決め手は何だったのでしょうか?

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実は、主人は和歌山県白浜町出身。子どもの頃から海でアワビやサザエを採ったり、ダイビングの資格を取得したりするなど、海に親しんできました。いずれは海で採ってきた海産物をカフェで提供したいという思いもありました。そのためには漁業権が必要だったんです。
外浦地区では漁業権は地区への貢献度にもよりますが3年ほどで取得できるとのこと。ただし、この地区に持ち家があることが条件の一つでした。
漁業権というものは漁場によってさまざまで、そもそも取得ができないところ、10年以上かかるところなどいろいろあるようです。同じ下田市内でも異なるのですが、3年なら待てる範囲だと思いました。
市役所の担当者を介して案内してもらった家は、10年以上空き家だった家で、物がたくさん残ったまま。ただ、持ち主が時々換気をしていたので、家の状態はそこまで悪くはありませんでした。使えそうなものも多く残っていたので、「自分たちで家具などは処分するので、このままの引き渡しで大丈夫です」と伝えたところ、「家具の処分代くらいの値段でと思っていたので、それなら譲渡でいいよ」とのこと。
こうして下田市を訪れた翌月の2019年1月、外浦地区の家の譲渡契約を結び、翌2月には移住してきました。それからは住みながら自分たちでリフォーム。2つあった台所を取り払い、ステンレスのキッチンを入れたり、薪ストーブを入れたり、壁の間仕切りを壊して壁に漆喰を塗ったりするなど、大掛かりなリフォームを行いました。

「外浦活性化プロジェクト」と、お二人のお仕事や活動について教えてください

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下田市の移住担当者が外浦地区の会議に来ていたのですが、何軒か空き家があることを知ったそうです。そこで、「外浦活性化プロジェクト」を立ち上げたと言います。このプロジェクトは、外浦地区が抱える課題である、人口減少、少子高齢化、祭り・海の家・浜清掃の担い手不足といった、地区存続の危機を外部からの移住者によって活性化を目指すというもの。この辺りは宿も多い地域ではあるのですが、昔に比べて、今は人口が半分ほどになったと言います。私たちはちょうどこのプロジェクトの移住者第一号になりました。
私は、ハローワークの求人を通して、下田市役所の臨時職員として採用してもらいました。そして、ボランティアになりますが、自らの移住経験を生かし、下田市の移住・定住支援サポーターとしても活動しています。移住相談会で移住相談や、「下田市×移住ポータルサイト」やInstagramを通じて移住関係の情報発信等を行っています。
主人は、カフェ開業に向け、物件を検討中。料理の勉強を兼ねて居酒屋でアルバイトをしたり、コーヒーの焙煎をしたりしています。正式な店舗は構えていませんが、コーヒーの焙煎は知り合いを中心に少しずつ注文も入っています。
また、近所の家の管理を任されていて、その土地の畑を借りて野菜を作ったり、果樹園を作ったりしているところ。いずれはイノシシなどに仕掛ける罠(わな)の免許を取得したいと考えているようです。
主人は、工業系の学校を出ていることもあり、ユンボの免許や車の整備士の資格の他、潜水士、船舶免許なども持っています。海の家の建設から営業までや、シュノーケリングのインストラクター、しいたけ栽培のお手伝い、民宿の皿洗い、消防団などいろいろやっているんですよ。
いずれは移住相談ができるようなシェアハウスのような場所も作ることができたらなと考えています。一つの決まった仕事をやるのではなく、季節やその時の状況に応じて、いろいろな仕事をしながらのんびり暮らすことができるのも、伊豆暮らしの魅力なのかもしれません。

これから移住を考えている方にアドバイスをお願いします

移住の際、パソコンで私たち夫婦の写真とプロフィール入りのA5サイズの自己紹介資料を作成して、それとお菓子を持って、近所へ挨拶周りをしました。地域の方もどんな人が引っ越してくるのか、心配だと思うんです。自己紹介資料は、地域の方と交流を作るよい資料になったと思います。
引っ越してきてまだ1年ほどですが、今では地域の方とすっかり仲良し。野菜やお惣菜を分けてくれたり、時にはアワビやイセエビを分けていただいたりすることも。風邪を引いた時はキンカンの蜂蜜漬けをくれたり、畑を手入れしている時は「この時期はこの苗を植えるといいよ」と野菜の苗や種を分けてくれたりします。みなさん、本当に優しい方でよくしてもらっています。
下田市は、私たちのような30代の比較的若い移住者も多いところ。移住者同士の交流の場もあり、市役所の移住担当者に連絡すれば、いろいろ情報を教えてくれると思いますよ。都市と違って、ここは私たち一人ひとりを個として接してくれます。仕事を紹介してくれたり、人を紹介してくれたり、横の繋がりも多いですね。
移住後、食費はこれまでの半分になり、また毎日がキャンプのような旅行のような生活で、楽しいですよ。移住前はこんな生活が手に入るとは思ってもいませんでした。まだまだこれからやりたいことはたくさんあります。楽しみながら暮らしていきたいですね。

  
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