田舎過ぎず、都会過ぎない、ちょうどいい暮らしが気に入り、掛川市で住宅を購入

愛知県から掛川市へ移住 山下さん一家
田舎過ぎず、都会過ぎない、ちょうどいい暮らしが気に入り、掛川市で住宅を購入
東海道新幹線に乗っていると見ることができるお城・掛川城。土佐藩初代藩主として知られる山内一豊が在城した城としても知られています。「東海の名城」とも呼ばれた美しい城の周辺には、約300本の掛川桜が植えられ、シーズンには多くの観光客が訪れます。掛川市は、もともと東海道と秋葉道(塩の道)が交差する交通の要衝として栄え、今では新幹線が停まるJR掛川駅、天竜浜名湖鉄道、東名高速道路 掛川IC、新東名高速道路 森掛川IC、富士山静岡空港へのバスの運行など、とにかくアクセスが抜群。豊かな自然環境に恵まれ、全国トップクラスの生産量を誇る茶産地でもあります。
愛知県の名古屋駅近くという都市で生まれ育った山下由子さんは、森町出身のご主人と出会い、掛川へ移住してきました。ご主人と二人のお子さんと暮らす由子さんに、移住の経緯と掛川での暮らしの魅力などについて伺いました。

掛川市へ移住するまでの経緯を教えてください

愛知県名古屋市で生まれ、市内の大学でスペイン語を学んだ後、金融関連会社に就職し、30歳まで勤めていました。せっかく学んだ語学の知識を生かしたくて、2005年の愛知万博ではスペインのパビリオンでスタッフとして従事。その後は派遣の仕事をしながら、通訳や翻訳の仕事をしていました。
2010年、友人の紹介で、森町出身の主人と出会い、2011年に結婚。当時、主人の勤め先であった湖西市に引っ越し、私は浜松市内の金融関連会社に転職しました。2012年、長男の出産を機に退職。そして主人の転勤に伴い、掛川市へ引っ越してきました。しばらくは会社の社宅に住んでいたのですが、悩んだ末、掛川市内の理想的な場所に建つ新築住宅を見つけることができたので、購入しました。掛川市は新幹線駅があるので、実家がある名古屋に帰省する際、便利だったんです。主人の実家がある森町からも近く、ちょうどよい場所だと思いました。
都市からの移住に抵抗はありませんでしたか?

主人と付き合い始めた頃は、湖西市周辺や掛川城など、静岡県西部地域を中心によく遊びに来ていました。主人の実家は森町の中でも山の上の方。「この人と結婚すると、歩いてコンビニには行けないかも」と思っていたので、何となく覚悟はできていました。
掛川市は、都会過ぎず、田舎過ぎず、ちょうどいいバランスの町だと思います。確かに名古屋に比べると、買い物に関しては不便に思えることもありますが、あまり大きな問題ではないですね。
もちろん、最初は戸惑いもありました。いつも買っていた商品が近くでは手に入らなかったこともあります。でも、「住めば都」と言います。選択肢の数は確かに減るけれども、その分、のどかな暮らしが手に入ります。
また、お祭り文化にも驚きました。大人も子どもも法被(はっぴ)を着て、屋台の引き回しがあるのですが、踊りの練習もあって、なかなか大変。でもそれはそれで楽しみの一つかもしれませんね。
掛川では、大人も子どもも知らない人でもすれ違ったら挨拶してくれるんですよ。都市では考えられないことですよね。子どもたちに「人を見たら泥棒と思え」と言って育てるよりも、「人に会ったらこんにちはと言う」と言って育てる方がいいと思ったんです。
今のお仕事について教えてください

移住後、何か私にもお手伝いできたらと国際交流関連のNPO法人にボランティア登録をしていました。二人目の子の入園までは子育てに専念していたのですが、ある時、そのNPO法人の人から「もし仕事を探しているのならうちでパートをしてみないか」と声をかけられました。今は、週3回、午前中のみ勤務しています。
静岡県西部地区はブラジル、フィリピン、ベルーなど外国人が多い地域。外国籍の方は、言葉の壁もそうですが、情報も集めにくく、とても苦労されています。市役所から手紙が来たけれど読めない、子どもを保育園に入れたい、予防接種をしたい、出生届の出し方がわからないなど、主に手続き関係での悩みがほとんど。私はこういった市役所に訪れる外国人に寄り添い、手続きのお手伝いをしています。
また、長女を妊娠中、名古屋に里帰りしていたのですが、時間があったのでボディジュエリーの資格を取得。もともと絵を描くのが好きだったんです。自分の手にアートを施したりしていると、興味を持ってくださる方も多く、友人のほか、スーパーのレジの店員さんにも声をかけられ、その方のお嬢さんに施術をしてあげたこともあります。ダンスをしているお子さんへのアート、結婚式の際の腕へのアート、妊娠中の方へのお腹へのアートなど、時々お願いされることがありますよ。
掛川市での子育てのしやすさや、これから移住を考えている方に向けてメッセージをお願いします
掛川市の魅力は、何と言っても子育て支援センターが充実しているところ! 子育て世帯が多いこともあり、子どもが遊べる公園や施設も充実していますし、子育て世帯のお母さん友達もすぐに作ることができました。子育て世帯には暮らしやすい市だと思いますよ。
特に「くらみ子育て支援事業所 パンダひろば」は、子どもの入園前にはほぼ毎日利用していました。里山の中にある廃園になった幼稚園を利用した施設なのですが、一般的な子育て相談などができる子育て支援センターとしての活用以外にも、トマトやサツマイモ、芽キャベツなどの収穫体験があったり、イチゴ農家さんの協力を得て、シーズンが終わり、残ったイチゴをバケツいっぱい摘ませてもらったり、自然と触れ合いながら親子で楽しめるイベントも充実。それまでママ友がいなかったのですが、ここでは同世代のお母さん友達をたくさん作ることができました。ここでの出会いは、掛川で生活する上でとても大きなものになりました。
私たち一家は、これまでの土地を離れ、イチから掛川でスタートしました。今では周辺の繋がりも増え、たとえば子育て支援センターでイベントをする際、「ボディジュエリーをやるよ」と手を挙げたりすることも。自分で積極的に手を広げていくことで、知り合いがどんどん増えていくと思います。
掛川には、子育て支援センターをはじめ、お母さん達が意見を言える場所があります。狭い地域なので、知り合いを作るとどんどん知り合いが繋がっていくのもまた魅力でもあります。
また、お裾分け文化も魅力の一つ。都市だと、何かのお礼はデパ地下のおしゃれなお菓子だったりしますが、ここでは白菜だったり、ハチミツだったり、味噌だったり、気取らない付き合いができるのもいいなと思っています。