プリン専門店として独立開業しようと出店場所を探していました。
　当初は必ずしもその場所を静岡と決めていたわけではありませんでしたが、御殿場の物件を見た瞬間に一目ぼれしてしまいました。外に出ると富士山が一望でき、その風景がとても素晴らしく、「ここしかない！」と即断しました。
　プリンづくりには卵と牛乳が欠かせません。実は、この卵と牛乳を探す過程で、私は移住してすぐに静岡の素晴らしさを感じることになりました。
　最初はネットなどを駆使して自分で探していたのですが、なかなか条件に合致した卵と牛乳を見つけることができませんでした。
そんな私の活路を開いてくれたのが地域の皆さんです。近所の方に「良い卵と牛乳はないかな」と相談したところ、そこから人づてにまだ会ったこともない方が理想的な養鶏場と牧場を紹介してくれたのです。
　移住したての私をこんなに助けてくれるなんてと感謝すると共に「困っている人をなんとかしてあげよう」という地域の人々の優しさにすごく感動したことを今でも覚えています。

その御殿場の方々に紹介して頂いた卵や牛乳などの材料を使ってプリンを作り、販売をしています。
お店のオープンは2020年2月。すぐにコロナ禍となり、開業当初は思っていたようにプリンが売れず苦しい時期もありました。
しかし、そんな苦しい時期も地域に住んでいる皆さまのお陰で乗り越えることができました。
お客様に話を聞くと、私のことをまだ知らなかった人に「あそこに新しくプリン屋さんができたよ」と紹介してくれたそうです。
開業当初、近所の皆さんの「プリン、美味しいよ」「応援してるよ」といった、たくさんの温かい声には本当に助けられました。
今ではお店を軌道に乗せることができ、多い日には500個以上のプリンを作ることもあります。ここまでお店を繁盛させることができたのは、間違いなく地域の皆様の温かい応援があったからです。

最近は家族と一緒に海や山に行ったりなど、アウトドアを楽しむ休日を過ごすことが増えています。
移住した当初はアウトドアについての知識があまりなかったのですが、やはり自然が近くにあると触れる機会も増えます。最近は御殿場の自然を堪能しています。
実は移住を検討した当初は、子どもの転校のこともあり、知らない土地に移ることに家族から抵抗がありました。
そこで、様子を見てもらうということで、移住1年目は私が単身御殿場で生活し、家族は休日に遊びにくるという生活をしました。
いきなり移住となると精神的なハードルも高くなると思います。
まずは休日に訪れてもらうことから始めたことで、家族にもゆっくりと御殿場の魅力を知ってもらうことができ、最終的には移住を決意してくれました。
こうして、20歳を超えた長男・次男が東京に残り、妻と三男と愛犬が御殿場に移住するという形になりました。
いま、御殿場では一軒家に住んでいるのですが、長男と次男も御殿場に実家ができたようだと喜んでくれています。

家族を残して単身で移り住み、仕事もコロナの影響もあり思ったようにいかない最初の数か月は精神的にも難しい時期でした。
しかし、今では移住して良かったと100パーセント言えます。
御殿場の方たちは、一人ひとりを大切にする、人の話にゆっくりと耳を傾けるという傾向があるように思います。
豊富な食材や自然だけでなく、この地域の方々の人柄も含めて、私は移住した御殿場が大好きです。
御殿場には東京から車でも気軽に来ることができます。アクセスが良いため、東京に軸足を置きつつ徐々に移住、もしくは私のようにまずは単身で住み、家族は休日に遊びにくるという段階を踏むなど、様々な形での移住もできる場所です。移住を検討されている方はぜひ一度御殿場に訪れてみてほしいと思います。